仲間達の暴走
―ありふれた非日常ver.1―
「慎ちゃん、明日どっか買い物行こうぜ。俺も食ってばっかじゃなくて、これからはファッションなんてのにも気を使おうかと思ってさー」
「は?クマ、どした?」
「いや!なんでもねえ!いいからいいから、明日遊ぼうぜ最近慎ちゃんと二人なんてめっきりないだろー?ア、アハハ」
「…?ま、いーけど。クマと二人かー久々だな?」
「おうっ!じゃあ明日九時に迎えにいくからさ!」
「了−解。じゃぁな」
「ばいばーい!!!」
・・・・・・・・・・・
「「っいよぉーし!クマ!よくやった!若干疑われてたが何とかごまかせたとみた!作戦その@標的である慎の捕獲、完了!」」
「つーか、オメぇファッションとか余計なこと言うから怪しまれんだよ!」
「とにかーく、内山&野田プロデュースの大計画実行開始!!」
「「「イエッサー!!」」」
SIDE内山
――職員室
作戦そのA
標的であるヤンクミの捕獲。
内山春彦がんばっちゃいまっす☆
「ヤンクミ!ヤンクミ!」
「お?んん?あっ内山じゃねえかどうした?早く帰れよー」
「ヤンクミ、あのさ、俺ちょっと最近悩みがあってさ?」
なーんて、ちょっとばかし伏せ目がちにトーンを抑えて声を出す。
彼女を騙すのは俺らにとっては朝飯前。
案の定彼女は
「ナニっ!悩みだと!?内山、話してみろ!アタシが力になってやるぞ」
ホラな。
「ああ、サンキュ。じゃあさ、明日日曜だけど学校来てくれね?図書館開いてるはずだし。
ゆっくり話聞いてほしいんだよ。今日はオフクロ遅いからオレ家帰んなきゃだし」
「おう!偉いぞ!内山〜」
「おいっヤメロってうわ!なに泣いてんだよバカ!(笑)じゃあ、明日九時な!」
「おうよ!」
作戦そのA、完了!
SIDE野田
――翌日
作戦そのB
標的である慎を焦らせてみよう。
ってなわけで、ま、コレどー考えても作戦じゃなくて目的なんだけど。
ま、俺ら馬鹿だし?
さあて、ここからは策士なワタクシが出張っていきますか!
最近、慎がいつも以上にクールキャラを押し出してるのが正直気に入らないわけ。
俺らの前ぐらい、感情出したっていいんじゃないのってね。
それでも、俺ら慎チャン大好きだし?
わかっちゃうんだよなー。
慎の“想い人”ってやつ。
しかもおそらく両想いvなんてことも。
それから…コレをやる理由はもうひとつあって。
とにかく、そんなわけでこの作戦なわけだけど。
そろそろ進めようか。
作戦そのC
ヤンクミを女らしくしてみよう。
――図書館
「おーい、内山いるか?」
ヤンクミが私服でやってきた。
本棚に隠れる俺たちは慌てて内山を押し出す。
「来てる来てる☆わりーな日曜なのに、さ」
「何言ってんだ!かわいい生徒のためじゃないか日曜でもなんでもどんとこいだv」
「デートする相手もいないもんな…うわっイッテー!ヤンクミ、ギブA!ジョーダンだって」
「ふんっ…ところで悩みって何だ?」
「あ!あーそれなんだけどさ、実はオレ最近ちょっと慎とうまくいかなくてさ、
…ホラあいつあんま表情かわんねぇじゃん?なんか前みたいにうまくいかないんだよ」
うっちいが着々と話を進める。
もちろんこれも作戦。
オレと南は本棚の裏で準備を開始する。
「沢田か。なんだおまえらもいろいろあんだな。しかし、沢田はまだまだ子供だからなー」
「…何々やっぱヤンクミみたいな大人の女から見ると慎てまだまだ子供なワケ?へぇ☆」
…オイオイウッチい顔緩んでる。
“いいこと聞いちゃいました!”みたいな?
メモしておきましょうか。
“慎、まだまだ子供”っと。
「…じゃなかった、それでさヤンクミ。頼みがあるんだ…!」
「おう!なんだ?アタシでよければなんでもやるぞ☆」
「じゃあ、俺らがこれから頼むこと全部やってくれよ?」
内山が手をたたく。
合図だ。
「「ヤンクミ、ちーっス!」」
「…は?南に野田じゃねぇか!何やってんだおめぇら??」
「いーからいーから、まずね、コレに着替えて!ハイそこでさっさとしてね☆」
「え?え?えぇ???」
用意したのはごく普通のワンピース。
(ま、南プロデュースだからそれなり物はいいけど)制服があんだけ似合う彼女ならいけると思うんだよねー。
さすがに着替えを手伝うわけにはいかないので最大の難関なワケだが
意外にコスプレ好きのヤンクミはコレぐらいの服なら着てくれるようだ。
そうして、出てきたヤンクミに、しばし俺らは声が出なかった。
“あー、なんかオレ慎の気持ちわかるかも。”
次はオレ。
このためにメイクの勉強しちゃったよ。
無理やり彼女を座らせ無言でメイクに臨むが彼女も黙っちゃいない。
「オイ、やめろ野田!くすぐったいから!コラ内山離せって!」
なんていっちゃってるわけ。
もちろん、ワタクシ野田、3Dきっての策士、逃がすわけがありません。
さっきのヤンクミの声は今頃クマの携帯を伝わって慎に届いてるはず。
慎がやってくる前にヤンクミ完成させないと♪
SIDEクマ
――with慎
(…慎ちゃん、騙してごめんよ!)
作戦そのD
慎ちゃんを誘導。
クマは昨日野田に教えられた通りにワンギリがあった後、わざとらしくトイレに行くからと慎に携帯を預けた。
“おそらく、仲間からの電話であれば慎は取り次ぐだろう”という野田の読み通りに。
そうして、少し離れて慎の様子を伺う。
SIDE慎
どうも、クマが昨日から変だ。
聞いてほしくなさそうだからあえて触れないではいるが。
今も、携帯を俺に預けてトイレ行きやがった。
マジ、わけわかんねぇ。
“RRRRR”
―着信 うっちい―
…マジかよ。
預けるくらいだし、ウッチいなら取り次いだほうがいいだろう。
しょうがねぇか。
「モシモシ」
「・・・・・・・・・・・・」
「?うっちい?」
かけてきたはずのウッチいは何もしゃべらず、ただがやがやと音がするだけだった。
人の声・・・?
違う、ヤンクミ…!?
確実にあの声はヤンクミだろう。
頭の中ですべてが繋がった気がした。
ただ、目的も何をしているのかもわからない。
何だ・・・!?
「オイ、クマ出て来い!そこらへんにいるんだろ!?」
+++++
15分後。
ちょうど野田がメイクを終えたころ慎は学校に着いた。
クマにあの後すぐ居場所を吐かせ、走ってきた。
目的まではクマは知らないと言う。そのことがさらに不安を大きくした。
ただのおふざけならいいが。
イヤ、ヤンクミがかかわっている以上、ふざけただけだと言われても、許せないかもしれない。
「ヤンクミ!?」
扉を開ける。
真っ先に目に入ったのは内山に髪をいじられてるやんくみの姿だった。
「あっ!沢田!」
機嫌がいいのか満面の笑みでそういった後しかし急に内山のほうを振り向いて何か小声で話している。
…イライラする。
だいたい、何でワンピースなんだよ。
化粧もきちんとされている彼女は、どこか雰囲気が違った。
それが余計に慎を苛立たせるわけで。
無言で近づき、ヤンクミの腕を取って立たせる。
そうして、自分のほうに引き寄せた後、いつの間にか出てきた野田と南、そして内山を軽く睨んだ。
「つーか、何しちゃってんの?」
仲間たちに絶対零度の声で問う。
そんな中ヤンクミは、慎によって捕まっている状態で不安げに辺りを見回すしかないでいた。
「つーか、何しちゃってんの?っていわれると、ヤンクミを女らしくしてみただけなんすけど!」
「そーそー、ヤンクミ元はきれいだし?磨いたら光るかなって☆」
「でも、べっつに慎がおこることじゃねぇよな〜?ヤンクミは俺らのヤンクミだし?許可取ったし?」
「…許可?」
今度は軽く、ヤンクミを睨む。
「だ、だって…待て。待てよお前ら。落ち着け。な、落ち着こうまずは。」
「うっせーな、なんだよ。」
「…沢田、怖い。違う待て、ケンカするほど仲がいいとはよく言ったものだ。しかし!ここはひとつ大人になろう。
な、うっちい、お互いを認め合ってこそ真の友情が…」
「あー!ヤンクミ、そのことならもういいわ!!」
「……っへ?」
「いや、だって別にオレ慎とケンカなんかしてねえし☆全然仲いいし☆」
「そーそー、っつーことで、俺等帰るけど!あ、ヤンクミその服南様からのプレゼントだ!似合ってるぜぇ」
「そうだ、慎ついでに言っとくけど、さっきヤンクミ“沢田はまだまだ子供だ”ってゆってたぜ♪」
「…は?」
「「「「じゃ、そーゆことで慎チャン誕生日オメデトっ!!ソレ、俺らからのプッレゼントv」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
そうゆうこと、か。
誕生日…自分のなんてすっかり忘れてた。
横で、いまだ状況がつかめずに頭をひねらせている彼女を見て慎は少しだけ笑った。
つかんでいた手を離して彼女の腰に回す。
驚いて見上げてくる彼女がやけに可愛くて。
「ヤンクミ、プレゼントだってさ。オレにくれちゃうわけ?」
なんて、意地の悪い質問をする。
顔が緩むのをなんとか耐えながら。
「っへ??というか、沢田誕生日か!じゃあ今日はアタシが夕飯作ってやるぞ☆」
「へぇ、ウチ来んの?」
「おう!」
「そりゃどーも。つーか、ソレより…誰がまだまだガキだって?」
「!」
彼女の顔にグッと自分の顔を寄せる。
メイク…もいいけど、コイツはスッピンで十分だな…。
「で、誰が?」
「えっいや、あのーさ、沢田…けんじ?なんちゃって・・」
「…バカ。じゃあさ、誕生日もきたことだし?教えてよ、オトナってどんなのなわけ?」
今度は彼女の耳元に唇を寄せて。
少し背を反らせた敏感な彼女に自然頬が緩む。
「しっ知らないもん!」
真っ赤な顔でそんな風にしゃべる彼女は、可愛い以外の何者でもなくて。
慎はさりげなく、彼女の首筋にキスをした。
「帰ろーぜ。ウチで、オトナとやらを教えていただかないと?山口センセイに?」
ありふれた非日常
今夜、彼女とともに。
END?
◆有希の可愛い妹vBOND管理人の睦月様から慎クミssですよー!!
◎睦月様からのコメント
強制終了の方向でいいですかね…
「BOND」の睦月です!締め切り間近に殴りこんで参加させてもらいました><;有希姉さんTHANKS!!
いいよねいいよね競作ですってv
他の皆さんの素晴らしい作品を見た後で睦月なんぞのもスルーしないでくれてありがとうでした!
駄文ですいません;睦月にしては珍しく4時間かけてしまいました。
実は、「暴走」「捕獲」と聞いて慎ちゃんが暴走する話を書いたんですがまとまらなくてボツにしました(笑)
この、ありふれた非日常はシリーズ化しましょうかね。(笑)
しかし、楽しかったです!ワタクシ、テーマとかあるの好きで好きで。
また機会があったら参加させてくださいませ。 それでは有希姉さん、皆様ありがとうございましたv
◎有希乱入長コメント
ウギャー!!勝手に終了しないでぇーーーーー!!!(叫)ォィ。
こ、この後の展開が気になって気になって・・・どうしてくれるんですかぁぁぁぁ!?><←お前が言うな。
今夜、この二人はもしかして・・いやーん!まだ心の準備が!!←殴。
お馴染みの愉快な仲間達の登場ー!!大好きっっっですよvv そして、焦ったり、嫉妬する慎ちゃんが最高に可愛いねぇぇvv(ゲヘへ)
てか!4時間でこの素敵作品が生まれるのっ!?私なんか今書いてるss一ヶ月近くかかっているような・・(ちーん)
狽オ、シリーズ化!?・・てことは???
はーーいv皆々様、競作企画・2回戦を行うことが、この時点で完璧に決定ですー☆(ォィ!)
いや、でも本当に出来たらいいですね(*^^)v
有希の大好きな可愛い妹、睦月ちゃんへv
睦月ちゃん、うはは〜い!慎クミ魂をしかーと、有希姉見せて頂きましたよ(最高v)
あ〜!やっぱ慎クミは原点・基本だよね!暴走した脳内を少し冷静に戻して頂きました(うはっ)爆。
えへへv睦月ちゃんの素敵サイト「BOND」がまた始動開始したと連絡を頂いた時は、もうそりゃあ倒れるくらいに嬉しかったです><
私がまだサイトを持つ前、鬼の様に通わせて頂いてたものね・・うぅぅぅ。(美しき思い出)
睦月ちゃんの書く文は柔らかくて優しくて、創作は性格が出るというのはホントその通りだと思います。
・・私なんか切なく冷たい路線まっしぐらですからね、それかお馬鹿なギャグ風味(自爆)
これからも素敵睦月ちゃんワールドが、どんどん広がることを心からお祈りしていますvv
いつも優しく可愛い睦月ちゃんは、有希姉の誇りですv この度は企画に参加して頂き有難うございました☆