空に浮かぶ何気ない幸せ。

 

 

 今日は日曜日。

 二人して久美子をデートに誘ったはずが…。

 久美子がデート場所に選んだのはこの河原の土手。

 

 (( ここでデート!? 有りえねぇ…))

 

 不満気味の二人を気にすることなく土手に座った。

 

 「おーー!天気がいいと気持ちいいねぇ〜」

 

 久美子はそう言いぐーっと伸びをすると、土手に寝転んだ。

 

 「あ…おいしそうな雲だっ!」

 

 久美子が空を指差した。竜と隼人が久美子が指差した方を見る。


 

 「どれ?」

 「何処だよ…」

 「あれだよ…あれっ!」

 

 

 そう言われても、立ったままの竜と隼人には見つけられなくて…。

 竜と隼人は久美子を挟んで、土手に寝転んだ。

 

 

 「あの雲。白くてふわふわで綿菓子みたいだな。」

 

 

 そう言われても二人には青い空にいくつもの雲が浮かんでいて

 久美子が言っている雲がわからなかった。

 

 竜は久美子が指差す雲が見たくて、久美子の側に移動した。

 久美子にぴったりくっ付いて久美子の指の先を見てみた。

 

 「あっ!ずりぃぞ、竜。ヤンクミの顔にくっ付き過ぎ。じゃ、俺だって…」

 

 隼人も慌てて久美子の側へ。

 竜と隼人に挟まれサンドイッチの具状態の久美子。

 

 「なに…二人とも張り合ってんだ?たかが雲ひとつで…。」

 「それが重要なんだよ。それより雲は?」

 「そうそう…。おいしそうな雲ってどれだよ。」

 「だからあれだよっ!」

 

 久美子の指がぐーっと伸びる。

 でも二人にとって本当は雲なんてどうでもよくて…。

 愛しい人をただ抱きしめていたくて…

 更にくっ付いてみる。

 

 

 「くっ…。もう雲なんていいー!狭いから離れろっ!お前たち、あたしにくっ付き過ぎだー!」

 「やだ…。」

 「俺も竜にお・な・じ。」

 「離せーー!そんなベタベタ引っ付くなーー!もう起きるー!」

 

 

 久美子の抗議の叫びも無視して、竜と隼人は久美子を抱きしめていた。

 

 

 ( こんなデートもいいかも…な )

 ( もうちょいこのまま…ね。)

 

 竜と隼人はそんなことを考えていた。


 

 

 

 

 

 「なぁ…竜。俺たちもしかして男として見られてない…とか?」

 「…そうかもな。」

 

 そして二人はため息をついた。

 二人の間にはすぅすぅ寝息をたてて眠る久美子。

 

 「俺たちが両側から抱きついてんのに、普通寝るか?」

 「俺たちの気持ち知っててよくこんな事できるよな?」

 

 隼人は眠っている久美子の頬をつんつんしてみた。

 

 「こらっ!久美子起きろっ!」

 

 小声でそう言いながらつつく隼人の表情は嬉しそうで…

 そんな隼人に竜は一瞬むっとした表情になった。

 

 「う…ん」

 

 と、不意に久美子が竜の方に顔を向けた。

 竜の目の前に久美子の顔があった。竜は思わず…

 

 

 『 チュッ! 』

 

 

 突然の竜の行動に隼人は慌てた。

 

 

 「竜っっ!てめぇ何してんだよっ!」

 「わりぃ…つい…。」

 「つい…とかじゃねぇだろっ!俺だってヤンクミにキスしたいの我慢してたんだぞ。」

 「だから…謝っただろ?」

 「お前なぁー。そんな簡単にヤンクミにキスすんなよ。」

 「…お前さぁ…意外と純なんだな。」

 「うるせぇっ!」

 

 竜と隼人が久美子を挟んで口論してると…

 

 「う〜〜ん。うるさぁ〜い。」

 

 そう言い久美子がむくっと起き上がった。

 そして目をこすると二人を交互に見た。

 

 「お腹がすいたからクマんとこラーメン食べに行こっ!」

 

 久美子はにっこり笑うと立ち上がった。

 それに続くのはおいしい思いをした竜。

 

 最後に憮然とした表情の隼人が立ち上がった。

 

 (今度は俺が久美子にキスしてやる)

 

 そう心に決めた隼人だった。

 

 

 END

 

 

 
 虹色こんぺい糖、管理人の華琳サマより、プレゼントして頂きました。
 拍手メッセで、ほんの少しの間、公開していた、素敵小説ですv
 
 しかも、タイトルを有希につけて欲しいとの事…
 アワワ、産みの親が華琳サマで、育ての親は有希だって!(滝汗)

 ぎゃー!!!ど、どうしよう、責任重大だなァ;;
 てか、全くセンスがないタイトルになってしまった…><
 華琳サマ、ごめんなさーい!!!!(土下座)
 でもでも、ホントに嬉しかったですvvv
 素敵ssのプレゼント、有難うございました。

       えんどうファミリー/有希

 華琳サマの素敵サイトへはコチラから→虹色こんぺい糖